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を学びながら政策への関心を培うことにより、「政策と文化の融合」をめざすことが、中央大学総合政策学部の最大の特色である。
たしかに、上記の基本理念にはSFCの普遍志向への対抗意識が感じられ、なかなか興味深いが、なぜ文化科学を総合政策学部の中で学はなければならないのか、もう一つ理解に苦しむ。再度繰り返すが、政策科学とは極めて異質の学科(国際政策文化学科)を抱えることにより、中央大学総合政策学部の性格がいささか掴みどころのないものになってしまったのではないか。例えば、2つの学科は入学時から別枠だが、学部共通基幹科目として、両学科の学生とも「政策科学概論」「政策過程論」「文化人類学」「政策文化関係論」の4つの科目を必修科目として履修しなければならない。だが、政策科学科の学生が文化人類学を学ぶ必然性が(本人の関心を別にすれば)、また国際政策文化学科の学生が政策過程論を学ぶ必然性が見えてこない。
中央大学総合政策学部でも、1、2年次において外国語と情報処理手法の修得が強調されている。外国語の修得単位数に限っていえば、慶應以上といってよい。同じく慶應と同様に「総合教育科目」と呼ばれる一般教育科目が相当重視される。外国語と情報処理、総合教育科目は、総称して「基礎科目群」として位置づけられている。その基礎科目群を政策科学科は全部で73単位、国際政策文化学科にいたっては何と81単位も履修しなければならない。これは4年間で必要とされる141単位の優に半分を超えている。したがって、しわ寄せは専門科目(中央では、「基幹・応用科目」と呼ばれる)に及ぶことになる。政策科学科でいえば、専門科目は68単位であり、完全に一般教育重視の姿勢が見受けられる。もちろん、総合教育科目の中には「国際交流論」「国際関係論」「基礎演習」などの重要な科目も含まれているが、「総合政策」の学部名にあこがれてきた学生が初めてそれにふさわしい科目に接するのが2年次の「政策科学概論」では少し遅過ぎるのではないか。「政策過程論」にいたっては、3年まで待たなければならないのである。
中央の独自性として、基礎科目群(一般教育科目)、基幹科目群(専門科目)ともに4単位科目が多いこともあげられる。これは、他の政策系学部が2単位のセメスター制を採用しているのとは方向性において大きく異なっている。私は伝統的な通年4単位制を一概に否定しているわけでもないし、セメスター制を無条件で賛美しているわけでもない。詳しくは次節に譲るが、要はケース・バイ・ケースであり、授業を受ける側の学生本位であって欲しいということである。したがって、基礎科目も専門科目も応用科目もすべて2単位という硬直したセメスター制には賛成できないが、かといって中央のようにことごとく

 

 

 

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